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副業を法人化して役員報酬を受け取ると会社にばれる?社会保険の仕組みと注意点

会社員が副業を法人化し、役員報酬を受け取ると、二以上事業所勤務の手続きや社会保険料の通知から本業の会社に副業を知られる可能性があります。

社会保険の仕組み、会社に伝わる情報、役員報酬を0円にした場合の取扱いを解説します。

 

会社員として働きながら副業の売上が増えてくると、「個人事業のまま続けるより、法人化したほうが節税になるのではないか」と考える方もいるでしょう。しかし、副業を法人化して自分に役員報酬を支給すると、税金だけでなく社会保険の取扱いも変わります。

 

特に注意したいのが、社会保険の手続きを通じて、本業の勤務先に副業の存在を知られる可能性が高くなることです。個人事業として副業をしている場合とは仕組みが大きく異なるため、法人設立や役員報酬の決定前に確認しておく必要があります。

 

結論:役員報酬を受け取ると、本業の会社に知られる可能性が高い

本業の会社で健康保険・厚生年金保険に加入している人が、副業法人の代表者や役員となり、そこから役員報酬を受け取る場合、原則として副業法人でも社会保険の加入対象となります。

 

このように、2か所以上の適用事業所で社会保険の加入要件を満たす人は「二以上事業所勤務者」として扱われます。

「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出し、主たる事業所を選択しなければなりません。

 

この届出の期限は、2か所以上の事業所で加入要件を満たすことになった日から10日以内です。副業法人側で新規適用届や資格取得届を提出しただけでは手続きは完了しないため、本人による二以上事業所勤務届も忘れないようにしましょう。

 

手続き後は、本業の給与と副業法人の役員報酬を合算して標準報酬月額が決定され、健康保険料と厚生年金保険料が計算されます。その保険料は、それぞれの勤務先から受け取る報酬額の割合に応じて按分されます。

 

さらに、決定された標準報酬月額と保険料額は、それぞれの事業所へ通知されます。そのため、本業の会社の給与・社会保険担当者が通知を確認すれば、その従業員がほかの事業所でも社会保険に加入していることを把握できます。これが、役員報酬を受け取ると社会保険から副業が知られる主な理由です。

 

副業法人でも社会保険への加入が必要になる

株式会社や合同会社などの法人は、原則として健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所です。従業員を雇っていない一人会社であっても、代表者が役員報酬を受け取り、継続的に業務を行っている場合には、その代表者について社会保険の加入手続きが必要になるのが通常です。

※妻が代表で自分が非常勤役員である場合の用に、非常勤役員や社員となることで社会保険への加入義務を回避している人もいます。ちょっと裏技っぽいやり方なのですが、配偶者や親族などの代表者が代表取締役(または代表社員など)をやっているという実態があるのであればOKでしょう。

「すでに本業の会社で社会保険に入っているから、副業法人では入らなくてよい」ということにはなりません。社会保険の加入要件は事業所ごとに判定されるためです。

日本年金機構も、本業の法人で社会保険に加入している事業主が別法人を設立し、そこから役員報酬を受け取るケースについて、新しい法人でも新規適用届と資格取得届を提出し、本人は二以上事業所勤務届を提出する必要があると案内しています。

社会保険は本業と副業法人の役員報酬の合計額から計算する

たとえば、本業の会社から月40万円、副業法人から役員報酬として月10万円を受け取っているとします。

この場合、社会保険料の計算の基礎となる報酬は、単純に本業の40万円だけではありません。40万円と10万円を合算した50万円を基に標準報酬月額が決定されます。その標準報酬月額から計算した保険料を、報酬額の割合である「本業4:副業1」を基準に、それぞれの会社へ按分します。

本業の会社には本業分の保険料額、副業法人には副業分の保険料額が通知され、各社がそれぞれ給与・役員報酬から本人負担分を控除します。会社側にも事業主負担が生じるため、副業法人の負担は役員報酬だけでは済みません。

なお、合算後の金額が標準報酬月額の等級上限を超える場合などは、単純に役員報酬額へ保険料率を掛けた金額とは一致しないことがあります。

本業の会社には何が分かるのか

社会保険の通知によって、本業の会社には、少なくとも本人がほかの適用事業所でも加入要件を満たしている「二以上事業所勤務者」であることが分かります。また、合算後の標準報酬月額や、本業の会社に割り振られた保険料額も確認されます。

一方、社会保険の通知だけで、副業法人の具体的な事業内容、売上、利益、取引先などがすべて伝わるわけではありません。ただし、手続きや通知の内容から「別の会社でも報酬を受け取っている」ことは把握されるため、給与担当者や人事担当者から説明を求められる可能性があります。

本業の会社を主たる事業所として選べば隠せる、というものでもありません。主たる事業所をどちらにしても、標準報酬月額と保険料額はそれぞれの事業所に通知されます。

いずれにしても、副業がバレないように内緒にしている方としては、社会保険に二か所で加入するのは避けた方が良いということになりますね。

役員報酬を0円にした場合はどうなる?

副業法人から役員報酬を受け取らず、無報酬の役員しかいない場合は、その法人で社会保険の被保険者となる人がいないため、通常は二以上事業所勤務の手続きも発生しません。日本年金機構も、無報酬の役員しかいない法人は、被保険者となる人がいないため社会保険の適用を受けられないと案内しています。

したがって、社会保険だけに限っていえば、役員報酬を0円とすることで、本業の会社へ二以上事業所勤務の通知が届くことは通常ありません。

ただし、役員報酬を0円にすれば副業が絶対に知られない、という意味ではありません。会社の就業規則、副業の届出制度、住民税の徴収方法、法人登記、インターネット上の情報など、別の経路から分かる可能性は残ります。また、実際には個人的な支出を法人に負担させるなど、役員報酬を0円とする実態と矛盾する処理をすれば、税務上の問題が生じるおそれがあります。

 

法人化する前に検討したい選択肢

副業が成長していても、法人化すれば必ず有利になるわけではありません。役員報酬を受け取る予定なら、法人税や所得税だけでなく、本人負担・会社負担の社会保険料まで含めて比較する必要があります。

本業の会社に副業をバレないようにしたいという事情がある場合には、当面は個人事業のまま継続する方法もあります。個人事業の事業所得は、通常、本業の会社で加入する健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額には合算されません。ただし、住民税など別の経路への対策は必要です。

法人化する場合でも、設立当初は役員報酬を0円にして利益を法人内に残す方法や、勤務先へ事前に副業の届出を行う方法などが考えられます。ただし、役員報酬には法人税法上の決定時期や損金算入のルールがあるため、社会保険だけを見て安易に金額を決めるのは危険です。

なお、員報酬の代わりに配当を受け取る方法もあります。配当は通常、社会保険上の報酬には含まれませんが、法人の経費にはならず、税負担や会社法上の手続きも異なります。「社会保険料を避けるため」という理由だけで選択するのではなく、法人全体の利益、資金繰り、将来の事業計画まで含めた検討が必要です。

 

まとめ

会社員が副業を法人化し、その法人から役員報酬を受け取ると、本業と副業の両方で社会保険の加入対象になるのが原則です。その場合は二以上事業所勤務届を提出し、両社の報酬を合算して社会保険料を計算します。決定された標準報酬月額と保険料額は双方の事業所へ通知されるため、本業の会社に副業の存在を知られる可能性は高いといえます。

 

副業法人から役員報酬を受け取るかどうかは、手取り額だけで判断できる問題ではありません。会社の副業規程、税金、社会保険料、法人側の負担、将来の役員報酬変更まで含め、法人設立前に税理士や社会保険労務士へ相談することをおすすめします。

当税理士無所も副業関連の申告は得意ですので、お気軽にご相談ください。

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